【属人化の解消】バス会社の特殊整備における動画教育マニュアルの作成(株式会社しまバス様)

依頼主株式会社しまバス 様(https://shimabus.co.jp/
企業規模従業員数83名
相談内容・奄美大島(鹿児島県 奄美市)で路線バスと観光バスの事業を展開。
・土地柄、湿気や塩害がひどく、サービスマニュアルに掲載されていない特殊整備(板金, 溶接など)が必要となる。
特殊整備はベテラン整備士の能力や経験に依存しているため、新人から中堅整備士でも特殊整備ができるようにマニュアル化をしたい。
支援内容① マニュアル作成に必要な、作業分解・動作分解の手法をレクチャー
② 動画マニュアルの具体的な作成方法をレクチャー
③ 軽微で簡単な整備から動画マニュアルを作成することを提案
成果・結果・頻発する整備の中でも、作業が簡単な「運賃箱の紙幣詰り解消」の動画マニュアルから作成を開始。
・ドライバー1本で対応でき、作業内容も簡単であるため、新人整備士でもすぐに習得できるようになり、ベテラン整備士への依存度が軽減
・複数の整備士が対応できるようになったことで、修理の待ち時間が少なくなり、路線バスの運行支障が軽減された
当支援について【業務の属人化の課題】
ベテラン社員の能力や経験に、業務を依存している企業は多いです。
その多くは、作業プロセスが複雑であったり、作業難易度が高度であったりすることが原因です。

しかし、「複雑だから…難しいから、ベテラン社員しかできない」と諦めてしまっては、いつまで経っても後身が育たず、効率的に業務が回る組織作りもできません。


【ご支援のポイント】
今回、㈱しまバス様に対するご支援のポイントは2つです。
① 動画マニュアルの活用
② 簡単な作業からマニュアル化


【① 動画マニュアルの活用】
文章や写真でマニュアルを作成する場合、大変な時間と労力を要します。
特に、整備業務のように複雑で緻密な動作を伴う作業の場合、それを文章と写真(またはイラスト)で表現するのは非常に困難です。

しかし、スマートフォンで動画を撮影してしまえば、作業の全体像や動作のニュアンスまでが詳細に記録されるため、それだけで1つのマニュアルとして成立します。
後は、動画に説明のテロップや音声を付け加えれば、それだけで動画マニュアルの完成です。

但し、テロップや音声で説明を加える場合は、その作業・動作の要点を抑えた説明でなければ意味がありません。
「何を、どうするのか」「何が、どうなったら、どうするのか」など、動作のひとつひとつを分解して、それに応じた動作説明を加えていく必要があります。

今回のご支援では、実際にあるひとつの作業をモデルにして、作業の開始から終了までの動作分析をおこない、誰が見ても(聞いても)理解できる要素単位に分解する方法をレクチャーしました。


【②簡単な作業からマニュアル化
業務マニュアルを作成する場合、多くの人が『複雑で難しい業務』からマニュアル制作に取り掛かります。
当然、複雑で難しい業務の方が、理解しにくく忘れやすいため、何度もマニュアルを見返す必要があるからです。

しかし私は、「簡単な業務からマニュアル化をしましょう」とお伝えしています。
簡単な作業からマニュアル化するメリットは以下の通りです。

① マニュアル作り自体が簡単で時間もかからない
② 業務が簡単であるため、教える側は「とりあえずマニュアルを見てやってみて」と教育を自動化できる
③ 覚える側も簡単な作業なので覚えやすい
④ ③で分かりづらい箇所があっても、作業もマニュアルも簡単な内容であるため、フィードバックによって修正しやすい
⑤ ①~④のPDCAが回りやすく、業務改善の成功体験を得やすい

この好循環が生まれることで、ベテラン社員は「自分が作ったマニュアルで新人が作業を覚えた」という成功体験ができ、またマニュアル作りに取り組む意欲が湧きます。
一方、新人社員も「マニュアル通りにやれば正しい作業が習得できる」という成功体験できるため、業務を忘れてしまったらマニュアルを見返すようになるため、教育を自動化することができます。

投稿者プロフィール

小西 貴大
小西 貴大中小企業診断士・事業承継士
マニュアル制作会社に13年勤め、300種類以上の業務マニュアル制作や、ドキュメント制作システムの開発に従事。マニュアル整備による教育の自動化、IT導入によるPC作業の自動化により、年間640時間の残業削減実績を持つ。2024年に中小企業診断士を取得し、2025年に独立。「工数削減による利益向上」を支援するため、業務効率化や業務仕組み化のコンサルティングサービスを提供している。