補助金×業務改善完全ガイド|ものづくり・IT導入・省力化投資補助金の活用法

「業務改善にお金をかけたいが、余裕がない」「補助金があるらしいが、どれが自社に合うのか分からない」——中小企業の経営者・管理職の方から、こうした相談をよく受けます。

中小企業の業務改善に活用できる補助金・助成金は、2026年度時点で主要なものだけでも7種類以上あります。ただし、制度の数が多い分、「どれが使えるのか」「そもそも自社が対象なのか」が分かりにくいのが実情です。

この記事では、中小企業診断士として業務改善の支援を行ってきた経験をもとに、業務改善に使える補助金・助成金の全体像から、自社に合った制度の選び方、申請の進め方までを一貫して解説します。


目次

中小企業の業務改善に使える補助金・助成金の全体像

業務改善に活用できる補助金・助成金は、大きく分けて「経済産業省系」と「厚生労働省系」の2系統があります。まずは全体像を把握してから、自社に合う制度を絞り込むのが効率的です。

主要7制度を比較する

2026年度時点で、中小企業の業務改善に関連する主な補助金・助成金は以下の7つです。本記事では上位4制度を重点的に解説し、残り3制度は概要を紹介します。

制度名所管補助率補助上限額(目安)主な対象
ものづくり補助金経済産業省1/2〜2/3750万〜3,000万円設備投資・生産プロセス改善
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)経済産業省1/2~4/55万〜450万円ITツール・クラウドサービス導入
省力化投資補助金経済産業省1/2~2/3500万〜8,000万円カタログ掲載の省力化製品・オーダーメイド設備
業務改善助成金厚生労働省3/4〜4/530万〜450万円賃金引上げ+生産性向上投資
小規模事業者持続化補助金経済産業省2/350万〜250万円販路開拓・業務効率化
人材開発支援助成金厚生労働省最大75%コースにより異なる従業員の研修・スキルアップ
働き方改革推進支援助成金厚生労働省3/4〜4/5最大1,270万円労働時間短縮・業務効率化ツール導入

※補助上限額は従業員数・申請枠・賃上げ条件等によって異なります。上記は2026年度の参考値です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

「補助金」と「助成金」の違いを整理する

「補助金」と「助成金」は似て見えますが、制度上の仕組みが異なります。

補助金(経済産業省系): 申請後に審査があり、採択された企業だけが受給できます。応募が多い場合は不採択になることもあるため、事業計画書の質が採否を左右します。ものづくり補助金・デジタル化・AI導入補助金・省力化投資補助金がこれに該当します。

助成金(厚生労働省系): 要件を満たせば原則として受給できます。審査による「不採択」は基本的にないため、申請のハードルは比較的低いです。業務改善助成金・人材開発支援助成金・働き方改革推進支援助成金がこれに該当します。

気を付けなければならない点として、補助金・助成金の支給金額の支払いは「後払い」が原則です。まず自社で費用を立て替え、事業完了後に実績報告を提出してから補助金・助成金が振り込まれます。この点は共通して注意が必要です。

どの制度が自社に合うか:3ステップで判断する

補助金選びで最初にやるべきは「自社が何に投資したいか」の整理です。

ステップ1:投資の目的を特定する

  • 「製造設備や機械を入れ替えたい」→ ものづくり補助金
  • 「ITツール(会計・受発注・業務管理等)を導入したい」→ デジタル化・AI導入補助金
  • 「人手不足を解消する省力化機器を導入したい」→ 省力化投資補助金
  • 「賃金を上げつつ業務効率化の設備を入れたい」→ 業務改善助成金

ステップ2:自社の規模・条件を確認する

  • 従業員数(5人以下・6〜20人・21人以上で上限額が変わる制度が多い)
  • 事業場内最低賃金(業務改善助成金は一定額以下が条件)
  • 業種・地域による加点措置の有無

ステップ3:公募スケジュールを確認する

補助金は公募期間が限られています。「使いたいときに使える」わけではないため、早めにスケジュールを確認しておくことが重要です。

💡 業務改善の全体像と進め方を先に把握したい方は、中小企業の業務改善の進め方|コンサルが教える実践5ステップ をご覧ください。


ものづくり補助金|設備投資で生産性を上げたい企業向け

ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業の設備投資や生産プロセスの革新を支援する制度です。

制度の概要

項目内容
対象者中小企業・小規模事業者
補助率中小企業 1/2、小規模事業者 2/3(製品・サービス高付加価値化枠/グローバル枠)
補助上限額750万〜2,500万円 ※従業員数による(製品・サービス高付加価値化枠)
3,000蔓延(グローバル枠)
対象経費機械装置・システム構築費・技術導入費・専門家経費 等
申請方法GBizIDプライムによる電子申請(jGrants)

出典:ものづくり補助金公式サイト

主な申請枠と選び方

ものづくり補助金には複数の枠があり、目的に応じて選びます。

  • 製品・サービス高付加価値化枠: 新製品・新サービスの開発、生産プロセスの改善。
  • グローバル枠: 海外展開に必要な設備投資。

中小企業の業務改善目的であれば、製品・サービス高付加価値化枠が最も使いやすい枠です。生産ラインの自動化設備、検品装置の導入、受発注システムの構築などが対象になります。

採択率を上げるポイント

ものづくり補助金は応募数が多く、採択率は回によって異なりますが概ね30〜40%程度です。採択されるために重要なのは次の3点です。

  1. 革新性の説明: 「自社にとって新しい取り組みであること」を具体的に説明する。単なる老朽化設備の更新では採択されにくい。
  2. 数値目標の明確化: 付加価値額や給与支給総額の伸び率を、根拠のある数値で示す。
  3. 事業計画の実現可能性: 導入後の運用体制・人員配置まで記述し、「計画倒れにならない」ことを示す。

💡 ものづくり補助金の詳しい申請方法と活用事例は、ものづくり補助金で業務改善・DXを実現する方法【2026年版】(公開予定)で解説します。


デジタル化・AI導入補助金|ITツール導入で業務効率化したい企業向け

デジタル化・AI導入補助金は、従来の「IT導入補助金」の後継制度です。中小企業がITツールやクラウドサービスを導入する際の費用を補助します。

制度の概要

項目内容
対象者中小企業・小規模事業者
補助率1/2〜3/4(枠・類型による)
補助上限額5万〜450万円(枠・類型による)
対象経費ソフトウェア購入費・クラウド利用費・導入関連費 等
申請方法IT導入支援事業者(ベンダー)と共同で電子申請

出典:デジタル化・AI導入補助金公式サイト(中小企業基盤整備機構)

主な枠と対象ツール

対象
通常枠業務管理・会計・受発注等のソフトウェア
インボイス枠(インボイス対応類型)インボイス制度に対応したITツール
インボイス枠(電子取引類型)電子取引に対応するITツール
セキュリティ対策推進枠サイバーセキュリティ対策
複数者連携デジタル化・AI導入枠サプライチェーン全体のDX・AI活用

※枠の構成は年度によって変更される可能性があります。最新情報は公式サイトで確認してください。

業務改善との組み合わせ方

デジタル化・AI導入補助金は、業務改善と最も相性の良い補助金です。たとえば以下のようなITツール導入に使えます。

  • kintone等の業務アプリ構築ツール: 顧客管理・案件管理・日報管理をExcelからクラウドに移行
  • freee・マネーフォワード等の会計ソフト: 請求書発行・経費精算・給与計算の自動化
  • Chatwork・Microsoft Teams等のコミュニケーションツール: 社内連絡のデジタル化

ただし、この補助金はIT導入支援事業者(ベンダー)と共同で申請する仕組みです。自社だけでは申請できないため、まず「IT導入支援事業者」として登録されているベンダーを探すところから始めます。

💡 ITツールの選び方と導入の全体像は、中小企業のIT活用・業務自動化ガイド|ツール選びから導入まで で解説しています。

💡 IT導入補助金の申請方法と活用事例の詳細は、IT導入補助金で業務効率化ツールを導入する方法【2026年最新】(公開予定)をご覧ください。


省力化投資補助金|人手不足を機器導入で解消したい企業向け

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業の省力化設備投資を支援する制度です。2024年度に創設された比較的新しい補助金で、カタログに掲載された既製品から選ぶ「カタログ型」と、自社の課題に合わせたオーダーメイド設備を導入する「一般型(オーダーメイド枠)」の2つの枠があります。

制度の概要

項目内容
対象者中小企業・小規模事業者(人手不足の状態にあること)
補助率1/2~2/3
補助上限額500万〜8,000万円(従業員数による)
対象経費カタログに掲載された省力化製品の導入費用(カタログ注文型)
デジタル技術を活用したオーダーメイド設備の導入費用(一般型)
申請方法カタログから製品を選択 → 販売事業者と共同で申請(カタログ注文型)
オーダーメイド設備の見積り→事業者独自で申請(一般型)

出典:中小企業省力化投資補助金公式サイト

カタログ型の特徴と注意点

この補助金には「カタログ型」と「一般型(オーダーメイド枠)」の2つの枠があります。

カタログ型は、事務局が公開する「カタログ」に掲載された製品の中から選ぶ仕組みです。申請手続きが比較的シンプルで、初めて補助金を利用する企業にも取り組みやすい枠です。

カタログに掲載されている製品カテゴリの例:

  • 自動精算機・セルフレジ
  • 配膳ロボット・自動搬送機
  • 自動清掃ロボット
  • 在庫管理システム
  • 検品・仕分けシステム

カタログは順次拡充されていますが、「自社が導入したい製品がカタログにない」場合はカタログ型では利用できません。申請前に必ず公式サイトでカタログを確認してください。

一般型(オーダーメイド枠):カタログにない設備投資に対応

カタログ型では、掲載されている既製品にしか対応できないという制約があります。この弱点を補うために設けられたのが一般型(オーダーメイド枠)です。

項目カタログ型一般型(オーダーメイド枠)
対象製品カタログ掲載の既製品企業固有の課題に合わせたオーダーメイド設備
補助上限額500万〜1,000万円(賃上げ要件で最大1,500万円)750万〜8,000蔓延(賃上げ要件で最大1億円)
設計の自由度低い(既製品から選択)高い(自社の業務に合わせた設計が可能)
申請の難易度比較的簡易詳細な事業計画書が必要。審査も厳格

一般型は、たとえば特殊な製造ラインの自動化や、自社独自の業務フローに合わせたシステム構築など、汎用製品では対応できない省力化投資に適しています。補助上限額が大きい分、事業計画書の質が採否を左右するため、認定支援機関や中小企業診断士への相談を推奨します。

💡 省力化投資補助金の詳しい申請方法は、省力化投資補助金とは?申請資格・上限額・スケジュール【2026年版】(公開予定)で解説します。


業務改善助成金|賃上げと業務効率化を同時に進めたい企業向け

業務改善助成金は、厚生労働省が所管する助成金で、事業場内最低賃金の引上げと生産性向上のための設備投資を同時に行う中小企業を支援します。

制度の概要

項目内容
対象者事業場内最低賃金が一定額以下の中小企業・小規模事業者
助成率3/4(事業場内最低賃金1,000円未満は4/5)
助成上限額30万〜600万円(引上げ額・引上げ人数による)
対象経費機械設備導入・コンサルティング導入・人材育成 等
申請方法各都道府県の労働局に申請

出典:厚生労働省 業務改善助成金

引上げ額別の助成上限額

賃金引上げ額(1人あたり)助成上限額(引上げ人数による)
30円以上30万〜130万円
45円以上45万〜180万円
60円以上60万〜300万円
90円以上90万〜600万円

補助金との違いと強み

業務改善助成金は「助成金」であるため、要件を満たせば原則として受給できます。審査による不採択が基本的にないのが、補助金との最大の違いです。

また、対象経費の範囲が広く、コンサルティング導入や人材育成も対象になる点が特徴です。たとえば以下のような活用ができます。

  • 業務改善コンサルタントへの相談・支援費用
  • 社員向けのITスキル研修費用
  • 業務効率化のための機械設備・ソフトウェア導入

賃金引上げが必須条件ですが、2026年度は最低賃金の全国的な引上げが進んでいるため、結果的に条件を満たしやすくなっている企業も増えています。

💡 業務改善助成金の詳しい申請方法は、厚生労働省 業務改善助成金とは?申請条件・金額・スケジュール(公開予定)で解説します。


補助金申請の進め方|準備から受給までの5ステップ

補助金の種類が決まったら、実際の申請に進みます。どの補助金でも共通する基本的な流れを5ステップで解説します。

STEP1:GBizIDプライムを取得する

経済産業省系の補助金(ものづくり・デジタル化・省力化)は、電子申請にGBizIDプライムが必要です。取得方法は2通りあります。

取得方法所要期間必要なもの
マイナンバーカード方式(オンライン完結)数時間~数日マイナンバーカード+NFC対応スマートフォン
書類郵送方式1〜2週間程度印鑑証明書(原本)+実印押印の申請書

マイナンバーカードを持っていれば、スマートフォンで本人確認を行うだけでオンライン完結・即日発行が可能です。補助金の公募期限が迫っている場合は、マイナンバーカード方式を強くおすすめします。書類郵送方式は審査に1週間程度かかるため、余裕を持って準備するようにしましょう。

GBizID公式サイト: https://gbiz-id.go.jp/

業務改善助成金(厚生労働省系)は書面での申請(各都道府県の労働局へ郵送・持参)が主流ですが、jGrantsによる電子申請を利用する場合はGBizIDプライムが必要です。

STEP2:業務の現状を数値で整理する

補助金の審査では「なぜこの投資が必要なのか」「どれだけ効果があるのか」を数値で示す必要があります。申請前に以下を整理しておくと、事業計画書の作成がスムーズになります。

  • 現在の業務にかかっている時間(月間・年間)
  • ミスの発生頻度と手戻りにかかる時間
  • 導入後に見込まれる削減効果(時間・コスト)

この「現状の数値化」は、業務の棚卸しで実施できます。

💡関連記事: 業務の棚卸し完全ガイド|中小企業が最初にやるべき可視化の進め方

STEP3:事業計画書を作成する

事業計画書は補助金申請の核心部分です。審査員は書類だけで判断するため、「読めば分かる」レベルの具体性が求められます。

事業計画書に必ず盛り込む要素:

  1. 現状の課題と原因: 何が問題で、なぜ起きているのか
  2. 投資内容と根拠: なぜこの設備・ツールなのか、他の選択肢と比較した理由
  3. 期待される効果(数値): 削減時間・コスト・生産性向上率を具体的に記述
  4. 実施体制: 誰が・いつ・どのように導入し運用するか
  5. スケジュール: 導入から効果測定までの時系列

特に、ものづくり補助金では、事業計画書の出来が採否を直接左右します。自社だけでの作成が難しい場合は、中小企業診断士や認定支援機関に相談することをおすすめします。

STEP4:申請・採択・事業実施

申請から受給までの一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 公募期間内に電子申請を提出
  2. 審査(書面審査が中心。ものづくり補助金は1〜2ヶ月程度)
  3. 採択通知を受領
  4. 交付申請・交付決定
  5. 交付決定後に事業を実施
  6. 事業完了後に実績報告を提出
  7. 確定検査を経て補助金が振り込まれる

補助金・助成金の申請で最も注意しなければならない失敗は、「交付決定前に設備を発注してしまう」ことです。 交付決定前に発注・契約した経費は補助対象外になります。この点は全ての補助金に共通する鉄則です。

STEP5:実績報告と補助金の受給

事業完了後は、実績報告書を提出します。ここで必要になるのが「支出の証拠書類」です。

  • 発注書・契約書
  • 納品書・検収書
  • 請求書・領収書
  • 振込明細(銀行振込の証拠)

これらの書類を事業実施中から整理しておくことが、スムーズな受給のポイントです。現金払いは原則として認められないため、すべて銀行振込で支払うようにしてください。


補助金申請でよくある失敗と対策

私がコンサルタントとして補助金申請を支援してきた経験から、中小企業が陥りやすい失敗パターンを整理します。

失敗①:交付決定前に発注してしまう

前述のとおり、交付決定前に発注・契約した経費は補助対象外です。「採択通知=交付決定」ではない点にも注意が必要です。採択通知の後に「交付申請→交付決定」というステップがあり、交付決定通知を受け取ってから発注してください。

失敗②:自社だけで事業計画書を書こうとする

近年、補助金の注目度が増しており、申請する企業も増加傾向にあります。それに伴い、事業計画書の質が採否を大きく左右します。初めて申請する企業が自力で書いた計画書は、審査のポイントを外していることが多く、不採択になりやすい傾向があります。

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)や中小企業診断士に事前に相談することで、採択率が大きく変わります。費用が発生する場合もありますが、補助金額を考えれば十分に見合う投資です。

失敗③:申請期限に間に合わない

GBizIDの取得に即日〜2週間(マイナンバーカードの有無による)、事業計画書の作成に2〜4週間、必要書類の準備に1〜2週間——合計すると、公募開始から最低でも1〜2ヶ月の準備期間が必要です。

公募開始後に動き始めると間に合わないケースが多いため、「次の公募はいつか」を事前に把握し、公募開始前から準備を始めることが重要です。

失敗④:補助金ありきで投資判断をする

「補助金が出るから導入する」という判断は危険です。補助金はあくまで費用の一部を補助するものであり、自己負担分は必ず発生します。また、補助金で導入した設備は一定期間の処分制限がかかるため、自由に売却や廃棄ができません。

正しい順序は「まず業務改善の必要性を判断し、投資を決めた後に使える補助金を探す」です。


主要制度の使い分け:業種・目的別の選び方

自社にどの補助金が最も合うか、業種・目的別に整理します。

製造業の場合

製造業では、生産設備の自動化・検品の省力化が主な投資対象になるため、ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠) が第一候補です。生産管理システムの導入であればデジタル化・AI導入補助金も併せて検討できます。

💡関連記事: 製造業の業務改善|現場経験者が語る工場特有の課題と改善アプローチ

建設業の場合

建設業では、現場と事務所間の情報共有や工程管理のデジタル化が課題になることが多く、デジタル化・AI導入補助金(kintone等の業務アプリ導入)が使いやすい制度です。ドローンや測量機器の導入であれば省力化投資補助金も候補になります。

💡関連記事: 建設業の業務改善|コンサルが解説する現場・事務所間の情報連携の改善法

サービス業・介護業の場合

配膳ロボットや自動精算機といった人手不足対策設備は省力化投資補助金の対象です。介護記録システムや会計ソフトの導入であればデジタル化・AI導入補助金が適しています。

全業種共通:賃上げを予定している場合

最低賃金の引上げを計画している企業は、業務改善助成金が最も使いやすい制度です。賃上げと同時に業務効率化の設備投資やコンサルティング導入を行えば、助成金で費用の3/4以上をカバーできます。


その他の活用できる制度:3つの補助金・助成金

上記4制度のほかにも、業務改善に活用できる補助金・助成金があります。ここでは特に関連性の高い3制度を概要レベルで紹介します。

小規模事業者持続化補助金|従業員20人以下の企業に最も身近な制度

小規模事業者(従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)が、経営計画を策定したうえで販路開拓や業務効率化に取り組む費用を支援する制度です。

項目内容
対象者小規模事業者
補助率2/3(赤字事業者は3/4)
補助上限額50万円(特例併用で最大250万円)
対象経費機械装置等費・広報費・開発費・委託費・外注費 等

出典:小規模事業者持続化補助金公式サイト

業務効率化が直接対象経費に含まれるため、ITツール導入や業務プロセス改善の費用に活用できます。補助上限額は他の制度より小さいですが、申請の手続きが比較的シンプルで、小規模事業者にとって最も使いやすい制度の一つです。

人材開発支援助成金|社員のDX研修・IT研修に使える

従業員の職業訓練やスキルアップを支援する厚生労働省の助成金です。全7コースあり、業務改善に関連が深いのは「事業展開等リスキリング支援コース」です。

項目内容
対象者雇用保険適用事業所
助成内容訓練経費の最大75%+訓練中の賃金助成
主な対象DX研修・ITスキル研修・業務改善手法の研修 等

出典:厚生労働省 人材開発支援助成金

2026年4月の制度改正により、事業展開等リスキリング支援コースに設備投資助成が新設されました。訓練修了後に関連する機器・設備を導入し、受講者全員の賃金を5%以上引き上げた場合、購入費用の1/2(上限150万円)が助成されます。「社員にITスキルを身につけさせたうえで業務改善ツールを導入する」という流れに適した制度ですが、対象は中小企業のみで、訓練・設備投資・賃上げの3点セットが要件となる点に注意が必要です。

働き方改革推進支援助成金|労働時間短縮のためのツール導入に使える

労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に取り組む中小企業を支援する厚生労働省の助成金です。

項目内容
対象者中小企業事業主
助成率3/4(30人以下かつ特定の取組の場合は4/5)
助成上限額成果目標により50万〜150万円+賃金引上げ加算(最大,1270万円)
対象経費労務管理用ソフトウェア・労務管理用機器・労働能率増進設備 等

出典:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金

「働き方改革」と「業務改善」は表裏一体の関係にあります。労働時間を短縮するために業務効率化ツールを導入する場合、この助成金が活用できます。労務管理用ソフトウェアや労働能率増進設備の導入費用が対象経費に含まれる点が特徴です。なお、パソコン・タブレット・スマートフォンは原則対象外のため注意してください。


よくある質問(FAQ)

Q. 補助金は複数の制度を同時に申請できますか?

制度によって異なりますが、原則として同一の経費に対して複数の補助金を重複して受給することはできません。ただし、異なる経費(例:設備Aはものづくり補助金、ソフトウェアBはデジタル化・AI導入補助金)であれば、同時期に複数の補助金を活用できるケースもあります。各制度の公募要領で重複受給の禁止規定を必ず確認してください。

Q. 補助金の申請にかかる費用はどれくらいですか?

補助金の申請自体に手数料はかかりません。ただし、認定支援機関や中小企業診断士に事業計画書の作成を依頼する場合は、別途コンサルティング費用が発生します。費用は支援機関によって異なりますが、事業計画書作成の支援で10万〜30万円程度が一般的です。なお、成功報酬型(採択された場合のみ補助金額の数%を支払う)の支援機関もあります。

Q. 不採択になった場合、再申請はできますか?

はい、多くの補助金では再申請が可能です。ものづくり補助金は年に複数回の公募があるため、不採択の理由を分析して事業計画を改善し、次の公募に再挑戦できます。不採択の場合、事務局から簡易的なフィードバックが提供されることもあるため、それを改善に活かすことが重要です。


まとめ:補助金は「業務改善の計画」が先、「制度選び」は後

本記事では、中小企業の業務改善に活用できる7つの補助金・助成金の全体像から、自社に合った制度の選び方、申請の進め方までを解説しました。

中小企業の業務改善に使える主な補助金・助成金は7種類以上あり、設備投資にはものづくり補助金、ITツール導入にはデジタル化・AI導入補助金、省力化機器には省力化投資補助金、賃上げと併せた生産性向上投資には業務改善助成金が適しています。さらに、小規模事業者には持続化補助金、社員研修には人材開発支援助成金、労働時間短縮には働き方改革推進支援助成金も活用できます。

補助金申請で最も重要なのは「交付決定前に発注しないこと」と「業務の現状を数値で整理しておくこと」です。特に数値化は、事業計画書の説得力を左右するだけでなく、導入後の効果測定にも直結します。

そして何より大切なのは、補助金ありきで投資判断をしないことです。まず自社の業務を棚卸しして課題を特定し、投資の必要性を判断してから、使える補助金を探す——この順序を間違えなければ、補助金は業務改善を加速させる強力な手段になります。

まずやることは、自社の業務を一覧化し、「何にいくら時間がかかっているか」を数字で把握することです。そこから投資判断ができるようになり、補助金申請の準備にもそのまま使えます。

💡 関連記事:業務の棚卸し完全ガイド|中小企業が最初にやるべき可視化の進め方

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投稿者プロフィール

小西 貴大
小西 貴大ベイズマネジメント代表
中小企業診断士・事業承継士・属人化解消コンサルタント|マニュアル制作会社に13年勤め、300種類以上の業務マニュアルの制作、ドキュメント管理システムの開発に従事。現在は中小企業の業務効率化・属人化解消を支援するコンサルタントとして独立。マニュアル整備による教育の自動化やIT導入による生産性向上で、年間640時間の残業削減を実現した支援実績を持つ。